義父がそう遠くない未来に旅立っていくことは、家族の皆が覚悟していました。不治の病にかかり、医師から余命を宣告されていたからです。ですが、その現実を受け入れるにはあまりに悲しみが大きく、特に義母の落ち込みはひどいものでした。私も義父の顔を見るのが辛く、病院に向かう足が重く感じたことを覚えています。
そんなふうに、家族が悲しみに沈んでいたある日、わたしの夫がとんでもない話を持ち込んできたのです。それは生前から葬儀について話し合う「生前相談」についてでした。よりによって、実の息子である夫が、まだ命の火を灯し続けている義父に向かってお葬式の話を持ち出すなんて……! 私は夫の不義理が情けなく、怒りにまかせて問い詰めました。ですが夫は冷静に、生前相談の利点を淡々と説明したのです。本人も交えて生前にしっかり話し合っておくことで、誰もが納得できる葬儀にできるのだと。
それでも私は納得しきれたわけではありませんでした。義父もまた、最初は戸惑っていたようです。ですが、夫の説明を聞き終えると「そうだな、それも一つの考え方かもしれん」と同意したのでした。そして「お前も一緒に考えてくれ」と、義母も巻き込んでくれたのです。
その日から、私たちは地元の足立で家族葬を行ってくれる葬儀社を探しはじめました。しかし、生前相談も家族葬も経験がない私たちのこと。信頼のおける葬儀社を見つけられるかは、正直不安だったのです。ですが運よく、私たちは良い葬儀社さんと巡り合い、本人はもちろん、家族も納得できる葬儀を企画することができました。その後ほどなくして義父は旅立ちましたが、皆が心から満足できるお葬式で送られたことに、喜んでくれたと思います。
私たち家族とって、お葬式やお通夜を一から作り上げたことは、とても貴重な経験になりました。そして、この経験から得たノウハウを、ぜひ多くの方と分かち合いたいと思っています。縁起でもないと思われる方も多いことでしょう。ですが、大切な人との別れは誰にでも訪れるもの。そのときに、温かく心のこもったお葬式で送ってあげることができれば、(不謹慎な言い方かもしれませんが)それはとても幸せなことだと思いませんか? そんなお葬式を、少しでも多くの方にあげてもらえたら。私がこのサイトに込めた思いです。
私たち家族が執り行ったのは、形式にも概念にもとらわれない、当事者の満足を第一に考えたお葬式です。そして、費用の面でもメリットがあります。そんな新しい形式の葬儀を成功させた私たちの経験を、皆さんのご参考にしていただければ幸いです。